屋根の葺き替えを検討している方へ
家の外装メンテナンスで必要なのは、外壁だけではありません。「屋根」も家の寿命を延ばすための大事な素材、メンテナンスを怠ってしまうと老朽化が進行し、災害時に予想よりも被害が拡大してしまう恐れがあります。
そこで、検討してほしいのが「屋根の葺き替え」です。既存の屋根素材を撤去し新設工事することで、耐震性・耐久性が備わり家の寿命を延ばすことにもつながります。
本記事では、屋根の葺き替えをするタイミングや費用相場などについて紹介していきます。
外装メンテナンス屋根の葺き替えとは?
屋根の葺き替えとは、既存の屋根素材を全て撤去し補修した後、新しい屋根素材を取り付ける工程をいいます。
また、似た用語として「重ね葺き」という言葉がありますが、これは既存の屋根を撤去せず上から覆う工程でカバー工法ともいわれています。
屋根の葺き替えは重ね葺きよりもリフォーム費用が高く施工期間も長めですが、耐震性・耐久性に優れており、結果的にはコスパがいいといえるでしょう。
屋根の葺き替えの費用相場
屋根の葺き替えの費用相場は、約70万円〜300万円ほどといわれています。
既存の屋根素材 | 施工後の屋根素材 | 費用相場(総額) |
---|---|---|
瓦 | 瓦(交換) | 100〜266万円 |
スレート | 70〜200万円 | |
ガルバリウム鋼板 | 80〜210万円 | |
スレート | スレート(交換) | 70〜200万円 |
ガルバリウム鋼板 | 90〜200万円 | |
セメント瓦 | 瓦 | 100〜250万円 |
スレート | 98〜260万円 | |
ガルバリウム鋼板 | 80〜200万円 |
屋根の葺き替えにかかる費用の内訳は、以下の通りです。
屋根撤去費用 | 10万円〜20万円 |
---|---|
下地補修費用 | 20万円〜30万円 |
葺き替え費用 | 40万円〜100万円 |
足場設置費用 | 600〜1,000円/㎡ |
アスベスト処理費用 | 2〜8.5万円/㎡ |
屋根の葺き替えでは、既存の屋根素材・新しい屋根素材・住んでいる地域・依頼する業者によって変動します。リフォームする際は、必ず複数の屋根修理業者へ見積もりを取り、費用の内訳をよくチェックしてから依頼しましょう。
屋根の葺き替えの施工期間
屋根の葺き替えにかかる施工期間は、屋根の形状によって多少異なりますが3〜15日程度で完了することが多いです。
屋根の葺き替えでは、既存の屋根素材の撤去・清掃・下地補修・屋根の新設工事といった流れで行われます。
ただし、外での作業となるため、猛暑日や梅雨など天候によって施工期間に影響が出る可能性があるため、施工期間を事前に把握しておきたい人は屋根修理業者に確認しておきましょう。
屋根の葺き替えのメリット
屋根の寿命が延びる
屋根の葺き替えのメリットの1つが、「屋根の寿命が延びる」ことです。
塗り替え・カバー工法とは違い、下地を撤去し作業を行うため内部の劣化状況を判断しやすく、補修作業が必要な場所を見つけやすいというメリットがあります。
また、野地板や防水紙など全てを取り替えることで新築に近い状態へと近づけられます。
施工後も定期メンテナンスを怠らずに、20年〜30年間隔を目安に屋根の葺き替えを行いましょう。
耐震性・耐久性もアップ
屋根を取り替えることで、台風・豪雨・地震などの自然災害にも耐えられるようになります。
家を建てて数十年経過し老朽化が進んだ屋根のままだと、台風や豪雨の時に雨漏れをすることで屋内へのダメージが広がり、最悪の場合屋根の葺き替えでは済まないケースも考えられます。
屋根の老朽化が悪化する前に、スレートのような軽量かつ丈夫な屋根素材に吹き替えておくのがおすすめです。
また、屋根素材を軽量なものにすることで家の基礎部分や柱への負担が軽減し、耐震性が上がる利点もあります。子供・孫の世代まで家を引き継ぎたいと考えている人は、葺き替えが得策でしょう。
屋根の葺き替えのデメリット
費用が高い
屋根の葺き替えはカバー工法に比べて費用が約10%高いため、どうしても金銭的な負担は大きくなります。
ただし、既存の屋根素材を撤去する分下地の状態をチェックできるのは葺き替えでしかできないメリットです。
築年数が20年を超えている場合は下地の老朽化が進んでいる可能性が十分に考えられるので、費用が10%高くても災害時の被害を抑えられる葺き替えを行うのがおすすめです。
時期によっては施工中に雨漏りが発生する
屋根の下地を全て撤去する葺き替えは、梅雨や台風が発生した時などに雨漏りを起こすリスクがあります。
また、悪天候の日は施工を中断する業者が多く、場合によっては施工期間が延びてしまうこともあります。雨漏りを防ぐためには、降水量の少ない時期に依頼することが重要です。
国土交通省のホームページに各都道府県(県庁所在地)の降水量が掲載されています。データを参考にしながら、降水量の少ない時期に葺き替え依頼をすると良いでしょう。
また、業者側に雨が降ってきた時の対策や悪天候の日が続いてしまった場合の対応についても、事前に確認しておきましょう。
屋根の葺き替えをするタイミング
屋根のひび割れや欠損がある
屋根素材の耐用年数が近づくとひび割れや欠損が起きやすくなります。
ひび割れがあると雨漏りしやすく、梅雨の時期に雨漏りしてしまうと屋根の葺き替えだけで対処できないケースが起きる恐れもあります。
また、欠損があると素材が落下する危険性もあるため、早めに葺き替えを依頼しましょう。
カビ・苔の発生
屋根素材の防水性が低下し湿気帯びた状態が続いてしまうと、カビや苔が繁殖してしまいます。
また、内部の木材や防水紙まで繁殖している可能性もあり、長期間放置してしまうと雨漏りの原因にもつながります。
家を長持ちさせるためにも、カビや苔の繁殖が見られたら葺き替えを行いましょう。
雨漏りがある
既に雨漏りが発生している場合は、屋根素材の問題だけではなく野地板や防水紙といった下地への腐食も考える必要があります。
早急に対応しないと家の寿命が短くなり、葺き替えでは対処できないことにもなりかねません。
家自体の劣化を防ぐためにも、早急に葺き替えを行いましょう。
屋根の葺き替え業者選びのポイント
安さだけで選ばない
葺き替えは施工費用が高く、少しでもコストを抑えたいと考える人も多いでしょう。しかし、あまりにも安すぎる場合は手抜き工事をされるリスクや、定期メンテナンスを行わない可能性もあります。
かといって、適当に業者を選んでしまうと「別の業者の方が安かった」なんてことにもなりかねません。必ず相見積もりを取って、保証・料金など比較しながらベストな業者を探してみましょう。
見積書の内容や見積額を入念にチェック
悪徳な修理業者は、見積書の内容が大雑把に記載されていることが多いです。特に「一式」という言葉を多用している場合は要注意です。
しっかりと何にいくら費用が発生するのか、総額の内訳が詳細に記載されているか入念にチェックしておきましょう。もし、少しでも疑問や不明な点があれば確認してください。
その際に曖昧な説明や話を濁すような対応であった場合は、悪徳業者である可能性が高いので依頼は避けた方が良いでしょう。
地元の屋根修理業者に依頼する
大手リフォーム会社やハウスメーカーへ依頼すると、保証は手厚いですが実際に施工するのは下請けの業者なので、費用が高くつきます。かといって、名前の聞いたこともない業者へ依頼するのは不安という人は、地元で実績のある屋根修理業者へ依頼しましょう。
ポイントは、しっかりと許可・資格を保有しているかどうか。葺き替えを依頼する業者の場合は、「建築板金」を保有していると安心です。
また、瓦屋根を扱う場合はかわらぶき技能士・瓦屋根工事技能士・瓦屋根診断士を保有しているかなども、参考材料になります。インターネットでの口コミや近所での評判を参考にしながら、信頼できる業者へ葺き替えをお願いしましょう。
屋根の葺き替えまとめ
屋根の葺き替えは家にとって重要なメンテナンスの1つです。
外壁塗装も屋根の葺き替えも定期的に行うことで、家の寿命を延ばすことに繋げられるでしょう。正式な契約を交わす前に、まずは複数の業者へ見積もりを依頼し費用相場を把握した上で信頼できる業者を見つけましょう。